美人にもイケメンにも価値がない時代が来る

新型コロナウイルスは、多大なる経済のダメージとともに、人々の生活と価値観を変えてしまいました。様々な変化が起きていますが、今回は、外見的価値が低下する時代が来ることを考察してみます。

「美はいかなる紹介状にも勝る」というアリストテレスの言葉がありますが、コロナウイルスが猛威を振るう前、ビジネスでもプライベートでも、綺麗事を抜きに言えば、外見はやはり重視されるものでした。「人は見た目が9割」という書籍もヒットしましたが、美人やイケメンは、そうでない人より好印象を持たれやすく、仕事上のチャンスや生涯年収も多くなるというデータもあります。

アイドルや俳優女優は言うに及ばず、一般人でも美人やイケメンはもてはやされ、SNSでも注目の的になりました。彼らのようになりたいと望む消費者の欲求を駆り立てる商材は、化粧品からダイエット、果ては美容整形まで枚挙にいとまがなく、巨大な市場にもなっていました。

美人でもイケメンでも意味はない

しかしコロナ時代では外見の価値などどうでも良くなるでしょう。直接接見の機会が極小化するからです。テレワークなら下手をすればサウンドオンリーです。美人もイケメンも関係ありません。百貨店では化粧品の売上が激減しています。今後評価されるのは外見でも人となりでもありません。成果物です。

また、プライベートに目を移しても、「好意を持った誰かと素敵なお店でデートする」という当たり前の出会いの価値観は、「濃厚接触&クラスター」と呼ばれるわけです。どんなに相手が美人やイケメンで心惹かれても、そもそも人と会うことにリスクが伴うので、ほとんど会えないのです。直接接触しないことが正義という価値観にアップデートするなら、外観とは全く意味を為しません。

外見を売りにする職業に未来はない

外見を売りにする職業に未来はない

以前「キャバ嬢も、港区女子も近い将来絶滅する」という記事を掲載しました。この記事では、年々多くのキャバクラなどの接待飲食業が閉店している事実と、その理由について解説していますが、今回のコロナ禍はもはやとどめを刺してしまったと言って良いでしょう。

キャバクラがバタバタと潰れるのは、様々なお客さんが来てコロナの温床になることはもちろんですが、きらびやかな女性たちによる、直接のコミュニケーションを売りにしたビジネスだからです。

オンラインキャバクラも売り出しているようですが、正直長くは持たないでしょう。華やかな女性たちがリアルに接客することで、時に男性の下心も上手に操ってお金を払ってもらうビジネスなのに、そもそも接見ごと禁止されれば、画面越しの女性に対し、誰もキャバクラ並みの高額な料金を払う気にはなりません。

また、オンラインにはグラドルもアイドルという競合も入ってくるでしょう。彼らの方が集客力はあります。一般人で多少可愛くても敵ではありません。しかし、最終的にはグラドルもアイドルも食べていけなくなるでしょう。撮影もイベントも、ファンとの触れ合いもできないので、根本的に収益を上げられないからです。

さらに、これらの外見を売りにする人たちはジョブチェンジが極めて難しいという特性もあります。これは不況下では明らかなリスク要因です。今後はAI搭載のバーチャルアイドルでも作った方が儲かるのではないでしょうか。

インスタグラマーはもっと早くいなくなるでしょう。多くの国民が苦しんでいる最中、華やかな日常を自己顕示欲とともに投稿されても、誰も見向きはしないはずです。

皆さんもニュースで嫌というほどご存知でしょうが、日本経済のダメージは深刻で、これからは不況はおろか、恐慌とも言える時代になります。食べるのにも困る人が氾濫するでしょう。貧富の差は絶望的なまでに広がり、下手をすればホームレスや暴徒が街に溢れかえる未来もあり得ます。

そんな時代、外見的価値など意味を為しません。
求められるのは能力と強さです。

時に多くの批判も浴びる外見重視のライフスタイルは、皮肉にも、未知のウイルスによって消失し、人間の本質でのみ勝負する時代が訪れることになるでしょう。