新型コロナウイルスは東京の不動産価格を暴落させる

東京を中心に、不動産価格の暴落が起きます。もう出た方がいいでしょう。

言うまでもなく、新型コロナウイルスの影響によってです。皆さんも日々ニュースを見て、猛烈な不安と社会の変化を感じていらっしゃるでしょう。新型コロナウイルスは、日本の生活を完全に変えてしまいました。

様々な変化が起きましたが、代表的な変化の一つは働き方です。多くの社員が満員電車に揺られ、一斉に出社するのではなく、テレワークが盛んに行われるようになりました。

テレワークが発展した結果、(対人サービスを主とする業種以外)そもそも対面での仕事比率が減ります。多くの人が、どうしても外せない、数える程度の打ち合わせのみ出勤すれば良いとなると、基本的にどこに住んでも関係ありません。

タワマンは最悪の建造物に

こうなると、住居費が高額であることは最大のデメリットです。特にタワマンは最悪の建物になるでしょう。言うまでもありません。「タワマンはクラスター予備軍ではないか?」…多くの方がもう感じているのではないでしょうか。むしろすでに事例があり、隠蔽されている可能性すらあります。

数百~千世帯もの人が住み、密集するエレベーターは生活には必須。もう使われることもない住民専用のジムやプール、ゲストルームやパーティールームの建築費と維持費、全て賃料と管理費に上乗せされています。修繕や改築も厄介です。もはやこの建造物に価値を見出す方が難しいです。

好立地の大きなオフィスは企業にとってリスクに

企業も一等地にオフィスを構えて、企業の力やイケてる感をアピールする意味がありません。何より出社する社員が少なく、お客様との打ち合わせも少なくなるなら、広いオフィスは無意味であるどころか、高地価の広いスペースは莫大な固定費であり、経営リスク以外の何物でもありません。オフィススペースの削減は、実に合理的な経営判断となります。

どちらかというと、当然オフィスの解約と縮小が早いですが、追って居住地域の移動も起こるでしょう。

流行りのスポットでオシャレな女子会、素敵なレストランで合コン、ベイサイドタワマンでホームパーティー。今後全て同じ呼び名になります。「クラスター」です。

もはや今までの文明が作り出した様々な奢侈が、一式全てリスクに転換されるというパラダイムシフトが起きているのです。東京自体が最大のクラスターなのですから。

誰も高額な買い物はしない

都心の不動産は全く売れなくなる

コロナウイルスの影響で、解雇されたり、商売が立ち行かなくなったなど、生活が苦しい国民も多く生まれてしまった今、日常品の購入でも神経をすり減らしている方も多数いることでしょう。

こんな状況では当然高額な買い物は控えられます。都心の不動産は全く売れなくなるでしょう。第一、住宅ローンはかなりリスキーです。もしコロナの影響で収入が減り、返済が厳しくなって延滞すると地獄です。案外理解していない方もいますが、延滞によって優遇金利が適用されなくなると、返済額がびっくりするほど跳ね上がります。

リーマンショック時と比較するのは無意味

リーマンショック時でも不動産価格の下落は限定的だったとかいうトークには疑問を禁じえません。そもそも今回のコロナ禍は、リーマンショックとは質が違い過ぎます。

リーマンショック時は、主に金融機関、特に外国の金融機関を中心にダメージを受け、その波及効果で日本の金融機関が苦しみました。今回は日本経済全体が大ダメージを受けており、経済活動自体がストップしているのです。

これでは国民の収入は上がるどころか、現状維持することも不可能です。とても人々の購買意欲など上がるわけはありません。「リーマンショック時とは違う」という言葉は、売れ余る不動産を躍起になって処分したい販売者側の嘘に見えてしまいます。

むしろ不動産業の皆様は、とっとと都内のバイオハザード物件は見切りをつけ、安価な地方物件を買い漁った方が良いのではないでしょうか。テレワークは存分にできるよう、光ファイバーのインターネット回線は確実に用意し、さらに地方再生を標榜すれば補助金も出るかもしれません。

期待とは異なる形での地方創成

皮肉なもので、東京一極集中の解体と地方創成は、幾千もの無能な政策によってではなく、目に見えない一つの小さな病原体によってなされることとなります。

「教唆は人を変えることはない。環境のみが人を変える」。僭越ながら、筆者の哲学です。教育も醇化も人には何ら意味はありません。人を動かすのは説得ではなく、環境だということです。

正義の議論など、正義の議論が行える余裕のある人たちの遊戯でしかありません。小さな病原菌は、私などよりはるかに雄弁にそれを証明しました。国会で繰り広げられる答弁を見て、多くの国民は実感しているのではないでしょうか。

高額な給与も不要、自給自足まであり得る?

さて、仕事はオンラインで住居は安価な地方と考えた場合、そもそも高額な給与が必要なのかという疑問も出てきます。オフィスや流行りのスポットはクラスター。人に会わない以上、外食費も被服費も交際費もどんどん縮小。生活上の経費が大幅に削減されるなら、大金を稼ぐ意味がありません。

以前は「自分らしい働き方って何だろう」とつぶやけば、それが半ばモラトリアムな人の場合は、ある種の甘えにも見えたでしょう。しかし今回は本当にそれができてしまいそうです。

都心を離れれば、お金に縛られることもなく、好きな時間に働けて、そこそこの収入でも十分暮らせる。土地が広いので、リアルソーシャルディスタンスで安全性も保たれる。仕事時間が終わったら、野山を好きに散策して自然と触れ合い、思索に浸るもよし。自分らしい働き方の実現です。こうなると、果ては自給自足が最適解にまで見えてきます。

冒頭でも書いたとおり、新型コロナウイルスは日本の生活を大きく変えてしまいました。今まで当然と思っていた価値観が、全く異なるものに変わろうとしています。未来の各地の風景もまた、今とは全く違うものになっているはずです。