埼玉で人並みの生活をするには30代で月収50万円が必要という衝撃

かなり衝撃的なニュースが朝日新聞に掲載されていたのをご存じだろうか。埼玉県労働組合連合会と有識者がまとめたデータによると、埼玉県で子供2人の家庭が人並みに生活するには、30代で毎月50万円の給与が必要になるという。

毎月50万円の給与ということは、単純計算で年収600万円である。生活コストが高い東京都心から少し離れたとしても、生きていく上で年収600万円が必要だというのは、相当な衝撃ではないだろうか。恐らく、埼玉県に居住する人たちは、地元で育ち、就労しているというケースを除けば、東京都心よりは安価な住居や生活費から、埼玉県での生活を選択した人が多いと思われる。それなのに、毎月50万円の給与が必要となると、生活が相当苦しくなることは明らかだ。

実際にデータを見てみても、かなり厳しい現状が見て取れる。

主な支出30代
(子供は幼稚園児と小学生)
40代
(子供は小学生と中学生)
50代
(子供は高校生と大学生)
食費10万8192円 12万1468円 12万5462円
住居費5万7292円 6万2500円 6万4583円
交通・通信3万8210円 3万8747円 4万9752円
教育2万6986円 3万7486円 12万8724円
共用娯楽4万5663円 3万2429円 2万8193円
総計43万257円 45万3984 円 58万4654 円
必要年収599万円647万円821万円
埼玉県内平均賃金411万円485万円545万円
差額-188万円-162万円-276万円
「普通の生活」のための年代ごとの毎月の支出
(朝日新聞デジタルより)

同じく朝日新聞によると、2008年の前回調査より、教育費や教養娯楽費、通信費にかかる金額が増えているとのこと。今や大卒が普通となり、少しでも良い教育を提供したいと親が考えるのは理解できるし、スマホやパソコンの普及により、通信費が以前よりかかるのも当然だ。ただ、それによって毎月の支出は約68000円も増えている。

2LDKレベルの住居費は東京都心より安価だが、人並みの生活に必要な年収と、埼玉県の就労者の平均年収とは、30代と40代で約160万円~190万円もの差が出るようになってしまった。

さらに50代となり、子供が大学に通う頃には、高偏差値の大学が集中する東京に通わせるケースを想定しているとはいえ、必要とされる年収と、埼玉県の就労者の平均年収の差は280万円近くまで膨らんでしまう。これでは奨学金を借り、妻がパートに出てもおぼつかないだろう。

埼玉ではもはや人並みの生活はできない

埼玉ではもはや人並みの生活はできない

老後2000万円問題の本質は、大半の国民に死を突きつけたこと」でも述べたが、子供1人につき、大学卒業までにかかる費用は、最安でも約2700万円である。朝日新聞の記事のように、私立大学に通わせるとすると、入学費と在学中の学費だけでも国公立大学より約200万円~300万円多くかかり、子育て費用の総額は、子供1人あたり3000万円近くになってしまうのだ。

こうなると、「JJ世代が結婚相手に年収700万円を求めるのは、案外正しい」で述べたように、相当高収入のごくわずかな男性と結婚した世帯しか、埼玉では子供2人を育てながら人並みの生活を送ることはできないことになる。もはや平均的な年収の人は、埼玉では普通に家庭を持って生きていくことすら難しいのである。

埼玉県よりも遠くに住めば…という考えも止めた方がいい。埼玉県は十分東京都心に近いが、どの年代でも全国平均年収を上回っていないのだ。都心からもっと遠方の居住地を選んだ場合、収入はより下がることは明らかだが、教育費はそこまで下がらないだろう。さらに、都心の大学に通わせたとすると、費用は近県に住むよりも大きく膨らむのは明白である。

30~34歳461万円
35~39歳517万円
40~44歳569万円
45~49歳630万円
50~54歳677万円
55~59歳669万円
年齢別の平均年収(男性)
国税庁「平成29年分 民間給与実態統計調査」より

新聞というメディアの特性上、朝日新聞の記事では無償奨学金や住宅補助等の制度充実を求めて結んでいるが、現実的には難しいのが実情だろう。少なくとも、近々では絶対に不可能だ。住居や生活にかかるコストを勘案し、都心から離れた場所を選択したはずなのに、人並みの生活ができないというのは相当な皮肉である。